ゆるやかな、つながり。
何年前の事だっただろうか?
「実家の木から、たった今、もぎ取ってきた来たよ」
と言って、持ってきてくださった、柚子。
先日、あの時とほぼ同じ言葉と共に持ってきてくださった、
もぎたての黄色い果実。
「トゲは、一応取ってあるけど、気を付けて」
柚子の木にトゲがあることを教えて頂いたのも、
何年か前の、このお客様からでした。
あの日と同じように、その日の夜は、もちろん柚子風呂。幸せだ。本当に。
このお客様のお母様も長く担当させて頂いていましたが、
足腰の具合が悪くなり、お店に来ることが困難になってからは、
お庭にあるこの柚子の木の下で
娘さんが、お母様のカットをされています。
その光景を想像するだけで、なんだか嬉しくなり、
そーっと、どこかに隠れて、このカットしている光景を
隠し撮りしたい気持ちになります。
「お母さんが、よろしくって」
と、毎回言ってくださるのですが、
私も同じように、このお客様の予約が入ると、
不思議とお母様に思いを馳せます。
何年も会っていなくても、
「どうしてるかな?」という、
そんな、想像力だけの、ゆるやかなつながりって、
お互いが相手を思いやるスタンスで、
返事が無くても、安心できる素敵な関係だと思っています。
いつも、直ぐに連絡が取れる人にも
同じように、「どうしてるかな?」と想像力をもって、
気になったら、すーぐ、連絡してしまう気持ちを抑えて、
思いを馳せた方が、いいかもしれない。
今日も帰って、柚子風呂に入ろう。
「ありがとう」も伝わったらいいな。