タケトリオキナ

梅雨に入り、雨の降る日が多くなった朝に、

外に降る雨の音しか聞こえない、お店の朝の準備の時間。

今日みたいに日曜日は特に静かで、

雨足が強くなったり、弱くなったりの

雨の強弱が移行する間の気配まで、感じます。

そんな静かな時間帯に準備をする時、

掃除をする自分も、その雨音だけの静寂の邪魔をしないように、

その中に溶け込みたいと思っています。

「竹林からお送りしております。タケトリ・オキナです。かぐや姫は元気かな」

先日、読み終えた本『月の立つ林で』（青山美智子著）の中で、

このセリフから始まる

タケトリ・オキナという男性のポットキャスト

『ツキない話』

顔も年齢も職業も明かされていない、

おそらく男性であることしかわからない、耳ざわりのいい声。

午前7時。毎日毎日、10分間。

必ず更新されるこの番組。

『ツキない』の”ツキ”は『月』のこと。

月にまつわる豆知識や語りが、すごくわかりやすく

そして、時に深い意味を持たせてタケトリ・オキナは語ります。

年齢も立場も場所も全く違う登場人物たちが

それぞれの場所で、このポッドキャストに耳を傾け、

うまくいかない日常の中で

タケトリ・オキナの月の語りに、

それぞれの気づきや、見えない人と人との繋がり、

そして、月の様に満ちたり、欠けたりしながら

それぞれが新しい日々を迎えていく。

この小説の様に、私にも楽しみにしているブログ、コラムがあります。

毎日毎日、それは私にとってのタケトリ・オキナ達であるのです。

ちなみに、余談ですが。

このタケトリ・オキナの一人が、

自分で起業してからずっと毎日、

新たなる日々を綴るブログを上げているのですが、

今日、記念すべき100回目！（100日連続更新）

この人にとってはそんなに大した事ない、朝飯前くらいの事だろうな。

と思いますが、でも、凄いなと思う。

私はこのブログ、店長日記を書く時、

届けたい誰かがいます。

（もちろん、お店のブログなので全体の内容そのものは

これを読んでくださっているお客様全員に向けたものですが）

誰かは、毎回、その時その時違います。

お客様であったり、お世話になっております先輩方、

並びに盟友の皆様だったりします。

その時その人に思いを馳せて、書いています。

それが、届く届かないはわからないし、

わからなくていいとも思っています。

この『月の立つ林で』でも最後、

ポッドキャストで不特定多数の人に発信している

タケトリ・オキナは、実はずっと一人のかぐや姫に向かって

いつか届くかもしれないという思いを持って

毎日毎朝、欠かさず10分間。発信し続けていたということが

明かされます。

みんなじゃないかもしれないけれど、

何かを発信する人は、単なる承認欲求では無く、

届いてほしい誰かや、この先どこかで繋がるかもしれない誰かに

届けているのではないかと思います。

明日も、私のタケトリ・オキナ達の配信、

何だろうな～。楽しみです。