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“秘める”美学

朝、出勤して今日はAmazonミュージックで坂本龍一を聞きながら準備していて、無心になって、うちのかわいい、シンボルツリーのエバーちゃんにお水をあげていたら電話がなりました。
「朝早くから、ごめんやで~。」
はい。このフレーズ。隣の定食屋さんのおばちゃん、いやいやオーナーさんです。
「シャンプーして欲しいねんけど~、何時?」
「今日は朝のお客様が11時なんで、今からとか、無理ですか?」
「行ける!行ける!ほな~(ガチャン)」
いつもお隣の定食屋さんは、朝早くに仕込みにだけ来ているおじ様がいます。お店のドアを開けて、軽快な音楽と共に仕込みとお掃除をしてます。毎朝、挨拶をするのですが、今日は珍しくおじ様が来てなくて、お店も閉まってました。そう言えば、昨日、いつもはいない時間の遅くまでおばちゃん、いやいやオーナー様が一人でいろいろ動き回って仕込みをしている姿を、前を通った時に、ドアが空いていたので、外から見えました。今日はおじ様が来ないから、昨日のうちに今日の仕込みを遅くまでしてたんだな。と思っておばちゃん、いやいやオーナー様を待ってました。
そうしている間に、オーナー様がご来店。シャンプーしながら「昨日、遅くまで頑張ってはりましたね。」と言うと「いやいや、遊んどっただけやで」と言う。「ウソばっかり」と言わずにその言葉をとっさに飲み込みました。なんとなく、そういう事にしておこうと思ったので。昨日、遅くなって疲れて頭、洗わずに寝ちゃったのかな?と思うと、黙って気持ちいいシャンプーしようと思いました。
いつも、このオーナー様には、どこかしらで「真面目に仕事するんやで」と言われます。最近、このフレーズを言わないと、その日の施術を終われない感じがします。
さらに夕方のお客様の前に、お腹空いたし、コンビニに行こうと思って出たら、最近、なかなか行けてない並びのカレー屋さんが珍しくお客様がゼロで(皆さん、コロナ対策で換気の為にドアを開けているので、中が見えます。)閉店30分前だけど、久しぶりに行けるかな?と思って「今からでもいいですか?」入ったら、オーナーの方が(ちなみに、こちらのカレー屋さんも女性がお一人で切り盛りされています)片手を後ろに回して、「大丈夫よ」と言ってくださった。後ろに回した手に持っていたのは、「本日は終了しました」のプレートでした。そーっと、棚にふせて置くオーナーさんに申し訳なくて、「もう終わりならいいですよ!」って言ったら「大丈夫。大丈夫。」っていつもの笑顔でした。そうしている間に、もう一人お客様が入って来たので、閉店するつもりだったところに舞い込んだお客様2号のお兄さんに「お兄ちゃん、ナイス!」って心の中で言いました。私の罪悪感が半分位になりました。
いつも、カレーを食べている間に、いろいろなお話を楽しそうにしゃべってくださるオーナー様です。昨日、今日と雨のせいか暇で、お客様が来ないから、早く閉めようと思っていたところに、私が来てしまったようです。「少しでも売上が上がるから、嬉しい」と言ってくださりました。
もうかれこれ19年間、ここでカレー屋さんを営んでいらっしゃいます。帰りに「雨の中、来てくれてありがとう」と言ってくれました。
19年間、やっていてもこの謙虚さ。定食屋さんのオーナー様の「真面目に仕事するんやで」はこういう事だと思います。
お二人とも、きっとご自分の苦労は、人には言わず、特にお客様の前では、秘めて頑張っているのではないかと思います。
“秘める”頑張りを見習わないと。やっぱり、カッコいいな。明日も真面目に、頑張ります。