夏の課題図書
心斎橋パルコ7階の無印良品にある、”MUJI BOOKS”
「ずっといい言葉と。」
という、
暮らしに関する事を中心にセレクトされてある本が並び、
本のある暮らしを提案しているスペースがあります。
ここで、訪れるたびに、何度か手に取るも、
「いや、待て待て。いっぱいお家にも、お店にも、積読してるやないか~」
と買わずに帰る日を重ねてたのに、ある時
「もう、そんなん、どうでもいいわ」と
いつもの、よくわからないスイッチが入って購入した本があります。
『手の治癒力』
コロナの流行や、何かにつけてハラスメントと言われる時代になり、
人と人とが”ふれる”という事が難しくなりました。
ところが、Mueのネット予約で最も多く希望されるメニューが、
頭皮に触れる”ヘッドスパ”なのです。
ヘッドスパを希望されるお客様のほとんどが、
発毛、育毛効果の期待では無く、
「リラックス」「頭皮をマッサージしてほしい」という
”癒し”を求められています。
これに加えて、もう一つ。
最後の仕上げの濡れた髪の毛を乾かす、ドライヤーの時間。
頭皮に風を送るために、指でかき分けながら頭皮に触れるだけですが、
この時間もリラックスするのか、あくびをする方、眠りに入る方もいます。
人に触れてはいけない時代に、
”手”を使い、人に触れることを許された職業についている今、
手を通じて、お客様に伝えれることがあるのではないか?
人は、本当は人のぬくもりを、どこかで感じたいのではないか?
と思ってます。
最後に、人と手を繋いだのは、いつだろう?
以前勤めていた会社で、
まだ限られた人しか私が辞めることを知らなかったときに、
当時の部長が、私がお客様に施術している途中、いきなりそばにやってきて、
「ごめん、僕、今日もう時間ないねん。文野さん、辞めるんやって?」
「はい。すいません。。。」
「じゃあ、最後、握手」
といって、お客様もスタッフも見てる前で差し出された部長の右手に、
思わず私も、右手を差し出してました。
握手した瞬間、本当に終わるんだという寂しさと、スッキリ次へ進める嬉しさと、
両方こみ上げてきたことを思い出します。
この本『手の治癒力』の事が気になりだしたのは、他にも”手の力”を感じる機会が出てきたからです。
5月に行ったメイクサロンにて、
以前、ご紹介した鵜飼先生の気持ちいいスキンケア。
目元、口元、頬を触れる時は
「上がれ~。上がれ~。って唱えながらね」
(これは、カマタメイクスクールの先生方は、みんなおっしゃいます)
鵜飼先生の手とスポンジのみで”ふれる”だけのスキンケアは
私にとって、不思議な体験になりました。
そして、もう一つ。
私がこの約10年間、月に一度お世話になっているフットケアのサロンがあります。
足も、人それぞれの難しいトラブルを抱えていますが、
それを丁寧にケアしてくださり、最後にひざ下からのオイルマッサージがあります。
マッサージをしながら先生が、今、私の体の中で起こっているトラブルを教えてくださり、
そして、そのトラブルに対する対処法も、教えてくださります。
この先生の手には、いろんなものを感じ取れる力と、人を癒す力の両方があります。
このお二人の先生の、素敵な”手の力”
私は、やっぱり、こうして人の手に触れられることで、
何かを取り戻したり、逆に何かを手放したりしているのだと思います。
目に見えないけど、確かにある何か。
この夏の課題図書を読み終えた時、
私の手にも、その力が宿ります様に。