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私たちの美容院移動

夜遅く降る雨は、

大気中に含まれる、あれこれ澱んだものを流してくれるようで

その後、やってくる朝の空気は

とても軽くて、澄んでいるような気がします。

 

今月の朔日参りの早朝は、そんな空気感の中でお参りできて、

とても気持ち良かったです。

 

6月に入りました。

若くて淡い黄緑色だった木々の葉も、濃い緑に変わりながら、

同時にその立ち姿も、なんだか縦にも横にも、ぐんっと大きくなって

朝の通勤道には”夏に向かってる”感があります。

「私たちの美容院移動」

というタイトルで面白いコラムを見つけたから、

ぜひ、読んでみて!とお客様から教えて頂いたのが、

今年の年明け早々のことだったと思います。

雑誌『オレンジページ』の中で作家の角田光代さんが連載されているコラムで、

その時、読んだ内容を

いつか、この店長日記に書こうとあたためていたのですが(あたため過ぎました)

いざ、書こうと思い、もう一度このコラムを読もうと思った時に

今、お店に置いている電子書籍からはバックナンバーが見れない!という事が判明し

いろいろ調べてみると、

この角田さんのコラムが一冊の書籍になっているというので

ならば!と意気込んで、休日に本屋さんを2軒回ったけど、

どちらでも

「ただいま、在庫がございません。お取り寄せになります」

と言われる始末。

 

仕方ない、、、

この乏しい記憶力で書くか。。。。。と思っていた時に、

このお客様がご来店してくださり

事情を話したら、その日の夜には

お店の”お問い合わせ”のメールアドレスに

私が欲しかったページを送ってくださいました。

 

と言うわけで、気持ちよく角田さんのコラムを正確な内容で、

この店長日記を書くことができました。

(Kさん、本当にありがとうございました!)

 

 

東京から旦那様の転勤で大阪に引っ越してきて、美容室を探していた。

という新規のお客様が、ここ最近増えています。

旦那様の通勤(淀屋橋、本町、肥後橋)へのアクセスが良い場所で

スーパーマーケットや飲食店が豊富なこと、

それでいて、夜は静か。

という条件を満たしているこの新町辺りを選ぶ方が多いのかもしれません。

 

永く永く担当してくれていた美容師さんが

お店を辞める事になり、追いかけてついて行こうと思ったが

もう美容師そのものを辞めてしまった。

もしくは、

その美容師さんの新天地でのお仕事は

営業時間が短縮されたり

お休みが不定休になり、なかなか予約がとれなくて

他の美容室を探す事になった。

 

Mueにご来店くださるご新規のお客様のほとんどが

この理由です。

 

角田光代さんのコラムの書出しも、また

「美容院迷走は、だれしも経験があると思う」

から始まり

「気に入らない髪型にされる

話が合わない

予約しても、ものすごく待たされる」

こうして理由で美容院を変えるも、改善される事は無く

なんならもっと悪くなる(笑)と。

そして、美容院迷走を経て、ようやく出会えた美容師を角田さんは

“奇跡の出会い”と書いてくださっています。

 

角田さんも

今の担当美容師さんが独立をした時に、その美容師さんについて行ったお客様の一人だそうです。

「いつもの感じ」

「雰囲気を変えたい」

「短くしたい」だけで全てが伝わる

なんなら

自分がどんなヘアスタイルをしたいのかなんて、

”自分でわかっていない”という角田さん。

ほとんど、”テレパシーの領域“でヘアスタイルが出来上がるとの事です。

 

なるほど。なるほど。

私はテレパシーを受け取っている自覚はないですが

こういうやりとりだけで

ヘアスタイルを作らせて頂いているお客様は

私にテレパシーを送って来てるんだと知リました。

(私が送り返しているテレパシー、合ってますか??)

世の中にこれだけたくさんの美容院があり

探せばいくらでも出てくるSNSの時代に

Mueを選らんで来てくださるご新規のお客様のほとんどは、

私と同年代から上の世代(40代以上)です。

もちろんですが、

何かしらのSNSを使いご来店に至る迄、

いろんな美容院を見て探して、比べていらっしゃいます。

 

面白いのは、Mueにご来店の大人の女性の皆様は

先ほどから書いている様に

既にいろんな美容室を見て来て、渡り歩いて来てます。

その経験からでしょうか、

この大人女子たちの何がすごいって

”勘“の良さです。

私の書く、この店長日記、インスタグラムを見て

自分にこの美容院が、合うか合わないかの答えが、

この時点で既に出ています。

 

そして、もう一つ

Mueにご来店くださる大人女子に共通しているなと思っていることがあります。

それは、年齢を重ねているだけあって

あきらかに、いわゆる「テイカー(与えるより、多くを受け取ろうとする人)」

ではなく、普段から会社でも家庭でも”与える側”の人が多いことです。

 

自分を軸に物事を考えている人と言うよりも、自分の置かれている環境で

”自分を少し、脇にどけている”人。

「何を与えてくれるか」よりも

「何を(人に)与えることができるか」を常に考え、もがいている世代が

Mueの顧客層です。

だから、私が目の前のお客様に対してあれこれ考えた分、

お客様も私に何かを与えてくれます。

なにより、私の仕事に興味をもって見守ってくださっている感じがします。

角田さんは、このコラムの最後のところで

付き合いの長い美容師さんとは、お互いのプライベートも知る仲だが

「でも、隅々まで知っているかと言えばそうではない。

関係性として、髪がつねに真ん中にある。

美容師さんと客とは、実に不思議な関係だよなあ」

と書いています。

 

そう、私はまだまだ失敗も多いのですが

常に”ヘアスタイルありき”の関係性でありたいし、

ヘアスタイルを安心して任せられることが前提で、その信頼関係のもと

普段、”与える側”の人達が

会社や家庭などの環境では言えない事、そこで脇に寄せている気持ちを

ちょっと話せてしまうのが、美容師(美容院)なのではないかと思います。

さあ、明日から、

テレパシー、見逃さないように気を付けます(笑)