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手から伝わる想い

先日、新しくハサミを買いました。ハサミは不思議と、お金の無い時に欲しくなる(笑)これ、本当。多分私だけ。
以前の店長日記にカット講習で先生に「ハサミを研ぎなさい!」と言われた事を書きましたが、実はあの時、正確には、先生に「新しいモノを買うか、ハサミを研ぐか、どちらかしなさい。」と言われてました。
「ハサミは適材適所で変えるんだよ」ということ。
まっすぐに一直線に切るのを、「ブラントカット」と言います。このブラントカットだけでは、カットラインが硬くなり、髪の毛同士が馴染まないので、このブラントカットのラインを、ハサミの刃先を使ってジグザグ山切りカットにするのが「チョップカット」。私のハサミは、このチョップカットをする時に、ちゃんと“縦”に刃先を入れる事で山切りカットラインが出来上がるのに、刃先が逃げてしまい、縦に入らない。いつまでたってもジグザグ山切りラインが出来上がらないと言うか、山ではなく、“波”みたいな変な中途半端なジグザグラインになってしまうのです。
ちょっとした事なんですけど、こういうちょっとした事が、時間だったり、仕上がりだったりにちゃんと差が出るんですね。
という訳で、いつもお世話になっているハサミ屋さんに相談して研いで頂く事になりました。私が今、持っているハサミは全て、このハサミ屋さんにお任せして、ハサミの材質、大きさ(長さ)、刃先とハンドルの部分をそれぞれ選んで、オーダーで作って頂いてます。そして、“歯つけ”と言って、こういうカットラインの切り口にしたいとか、髪の毛の上を滑りやすくとか、ここが、一番美容師さん達がこだわるところです。ちょっとした事でも、皆さんこだわって調節して歯つけしてもらってます。私はと言いますと、
「だって、文野さん、なんでもいいって言ってたやん。」もう一人のハサミ職人の人にも「だから、言ったでしょ。最初に」ってね。はいはい、本当に、私がそう言いました。っていう始末。では、今の、この逃げるハサミの刃先や歯つけを、逃げないように、山ぎりカットにする様にお願いしたかったけど、このハサミのこの逃げる感じは、これはこれで、優しいカットラインに仕上がる歯つけであるということ。私のハサミを担当してくれているマイちゃん(ハサミ職人でいて女子!)のこのハサミに対しての理論的な事、そして、このハサミに対する想いを聞いたら、このハサミはこのハサミで置いておこうと思いました。
適材適所で、ハサミを使い分けるという、カットの先生の教えに従った私。(お金無いけど)これでいいのだ。
先日、研ぎに出してメンテナンスが上がってきた今までのハサミたちも、めっちゃいい仕上がりになっていて、カットが楽しい毎日です。マイちゃんの“こういう風になる様に”という想いが詰まっているハサミ。
マイちゃんの手からハサミに想いが詰まっている感じが伝わる。職人の手仕事って、やっぱり凄い。
ハサミのおかげで、また“なんでもいい”の塊が少し崩れて、「ホンマモン」に近づけるかな。明日も頑張ります。