ささやかな日常
昨日、今日と営業中、時間があれば、本を読んでます。午前中~午後の日が暮れるまでの時間で、お店に日が差し込み、充分明るいお店の中に、お客様がいなくて、私一人になる時、あえてBGMやお店の電気を消す。そんなMueの雰囲気が実は凄く好きなんです。その、なんとも言えない位、時間がゆっくり過ぎている感覚になる中で、本を読むのが最近の贅沢です。(ちょっと、ナルシスト的ですか?(笑)) このあえて電気、BGMを消して、本を読んだりしている時に、何度かディーラーのえりか様が来たりして、「文野さん、大丈夫ですか?」と心配させたこともあります。
昨日から、以前、店長日記でも紹介したことがありますが、「ミナ ペルホネン」の皆川 明社長の本を読んでいます。その時の店長日記を読んで「私も好きなの」とLINEをくださったお客様がいて、その時に送って頂いた皆川社長のインタビュー記事も面白かったです。今、読んでいる本は「生きる はたらく つくる」というタイトル。今、私の中ではたらく事に対して、イヤな事は何も無いのですが、仕事を中心にした「生き方」ってなんだろうと、いつも思っています。
何か自分にスッと入って来るものが、この本にはあるような気がしたので、読んでいます。
この「ミナ ペルホネン」の「ミナ」はフィンランド語の「私」という意味の単語からつけたと書いてました。服をつくるのも、ひとりの「私」。服を着るのも、ひとりの「私」。「私」という意識が服を作り、「私」という意識が服を着る。服というものと、人の気持ちが出会う場所。(「生きる はたらく つくる」本文からの抜粋です。)私も、「Mue」の名前を考えていた時の事を思い出します。シンプルで、言いやすくて、耳障りのいい音を探しながら、お店のコンセプトと合わせて考えてました。
美容師も、服飾のデザイナーも、主に手作業です。
今日、一番スッと入ってきたのは(以下、本文抜粋)
「ささやかに見える手作業の積み重ねが、働く日常のほぼすべてだとすれば、それがミナにとっていちばん重要なことだった。それ以外に大事なものはどこにあるのか、と感じられる場所にいること。」
私の仕事も、一人一人のお客様に対して、本当にささやかな手作業の積み重ねです。そして、それで満たされる気持ちがある。その日常の繰り返しでいいのだと思えました。
今日、最後のお客様は25年ぶりのパーマをあてました。彼女とは、約20年の付き合いです。そんなヘアスタイルを任せてくださること、同じ思いでヘアスタイルに挑む事、ささやかな手作業の積み重ねを今日の彼女の為に形にすることは、プレッシャーもあるけど、このお仕事の喜びだと思います。
Mueという場所が、ヘアスタイルを通じてその「人」のまだ知らない「気持ち」に出会う場所になる様に、この本を読みながら、まだまだ未来に向けて修行(笑)です。