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【ヘナ】マルかバツかの無い世界④

今日で最後の“ヘナ”について。

私がヘナに興味を持ち、今回ヘナを導入しようと思ったきっかけは、前のお店のお客様にあります。

3週間に1度、ヘアカラーのリタッチでご来店頂いていたお客様で、元々、細くて柔らかく、毛量も少ない方でした。顔周りの髪の毛は特に細くて、少ない状態。このお客様が「前回のカラーで頭皮と顔が被れたので、今回、プロテクトオイルをしっかり頭皮にして欲しい」と言われました。もちろん言われた通りにして、カラーの塗布も軽い塗布量で仕上げました。

ところが、このお客様がこの時以来、ご来店されなくなりました。ご来店しなくなったのが気になっていたまま半年後。再びご来店頂いた時に、髪の毛を見るとヘナをされている事は一目瞭然でした。この半年間の間、ヘナのサロンに通われてました。何より驚いたのは、この半年間の間にこのお客様の髪の毛が、私が知っている髪の毛とは全く違っていた事です。髪の毛一本一本にハリ、艶、そして、何より顔周りの髪の毛の見た目も、全く変わっていたのです。全体の毛量も増えていたように見えました。この時、ただただ、ショック。私、何やってきたんやろう?今、お客様に“普通に”提供しているカラーが、怖くなってしまいました。このままでは、(ここのお客様が)ヤバい!

とはいえ、前の会社は大きい組織だったので、私一人の言い分で、ヘナへの方向転換は無理。とりあえず、オーガニックのカラーを探す事にしました。探し出すと、ディーラーさんのご協力もあり、運良くスムーズに見つけることができました。それが、今、Mueでも使っている“Villa Lodola”というカラーです。ただ、このカラーも今までのカラーよりは、優しいとはいえ、ジアミンというヘアカラーで被れをおこす成分が入っているので、被れる人には被れます。実際にこのカラーでも、痒いとおっしゃってる人、頭皮が突っ張る感じがするとおっしゃってる人はいます。

ヘナを導入したからと言って、全員のお客様に勧めようなんて、思っていません。今の私のお客様が求めるヘアカラーは、明るさ、透明感、寒色系のカラーだからです。よく、ヘナを“色”としてとらえると、難しいと言われます。ヘアカラーを楽しみたい人達には、まだまだ不向きです。

ただ、これも私の経験から言える事ですが、前回普通にヘアカラーできた人が、いきなり今回から被れてしまう事が普通にあります。そして、その可能性は、全ての人にあります。私は、たとえ、ドラッグストアのシャンプーでも、ヘアカラーでも、今、満足して使っているのであれば、それでいいと思ってます(本当はダメだけど(笑))ただ、もし何かあった時に、今までとは同じようには、いかないけど、変わりになるモノを美容師として、自信を持って差し出せるようになりたいと思ってます。お客様が「キレイになりたい」という気持ちがなくなってしまうことが、諦めてしまうことが、何より怖い事なので。

最後にヘナを調べている時に出会った、ある美容師さんのブログに書いてた事なんですが

ヘナの寿命は人間と同じ80年ほど。ヘナの作られているインドの地域は、夏は気温が50度を越え、乾燥地帯にあるそうです。その過酷な環境の中でヘナは誰にも耕されることがなく育ちます。水もあげません。強い紫外線から守る成分をヘナは自分の中で作り出します。

暑い暑い夏を越えて、9月頃に降る雨で、一気にヘナは成長して大きくなります。この時にヘナの中にある染色成分のローソンの数値もグッと上がる。しかし、自然界の事なので雨が降らない時もあります。そうすると農家の人は地下水を一生懸命かけて、ヘナの葉っぱを大きくします。だけど、この地下水ではなぜか、ローソンの数値は上がらないのです。人工的にかける地下水ではダメで、雨水でなくてはならない。

さらに、もうひとつ。ヘナの最高のパートナーがヤギです。ヘナにはたくさんの雑草が絡みつくのですが、ヤギを放っておくと、ヘナ以外の雑草をキレイに食べてくれる(ヘナはとても苦いらしい)ヤギの糞尿が肥料になり、さらに良いヘナになる。という自然界のいい循環があるわけです。

ヘナに携わっている男性はこう言いました。

“ヘナは毎年どうなるかは神様が決める。

人の手が介入できないんだ。だから、収穫量も染料の数値も採れるまでわからない。

人は何もできないんだ。”

秋には、根っこだけを残して、根元からざっくり切られて収穫されるヘナ。だけど、またそこから80年かけて、同じように文句を言わず育ちます。

きっと、ヘナが髪の毛を染めるというのは、ほんの一部分なんだと思います。これから始まる、私が見て、感じるヘナの魅力が楽しみで仕方ない。

そして、それがお客様にとって、素敵なモノになりますように。