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また、忘れてた。うまくいかなかった日の夜の話

サロンワークが、うまくいかなかくて、一人脱走劇を繰り広げたその日の夜。

なんだか、すぐにお家に帰るのが嫌で、

偶然にも前日に、ある人から勧められた、

85歳のすし職人の店主を追った、ドキュメンタリー映画を見ました。

世界の食通からも高い評価を受ける、銀座の高級寿司屋。

そこの85歳の店主が、お寿司の技をずっと探求し続けている姿や、

その厳しい父親(店主)の下で、奮闘しているすし職人の息子さんたち、

そして、お互いの信頼関係で成り立っている、お米やネタの業者の方々などが

映されていました。

店主のお寿司に対するプライドや情熱が凄いがゆえに、

それに応えようとする、店主を支えている人たちの姿も含めて、

”職人”という職業を選んだ故の、苦労や喜びなど、心に響くものがありました。

冒頭に、

「自分がやろうと思った仕事に対して、無我夢中に、好きにならないとダメ」

という店主のインタビューから始まります。

このドキュメントの中で、ある料理評論家の方が、この方のお寿司を

「シンプルを極めると、ピュアになる」

と表現されていました。

少し、話が逸れますが、これも偶然、数日前に読んだあるコラム。

オランダの絵本作家 ディック・ブルーナさんの本の紹介でした。

皆さんご存知、ミッフィーちゃんの生みの親であるブルーナさんです。

今年も、阪急電鉄がミッフィーと仲間たちが沿線をめぐる様子を装飾した

”ミッフィー号”の運行も記憶に新しいです。

このブルーナさんもこのコラムの中で、

「長年、ミッフィーの絵本を書いてきましたが、全く飽きません。

『シンプルにすること』に挑戦し続けているからです」

とおっしゃっていました。

さらにブルーナさんは、ミッフィーを書く時は、毎回、緊張していたそうで、

日々、新たな気持ちでミッフィーに向き合いながら、描き続けてといいます。

この寿司屋の店主もドキュメントの中で、

「常に、良くなるためには、どうしたらいいのか?を考えている」と。

 

地道に日々の努力を続けている、息子さんを含む、見習いの人達のインタビューでは

「到達したら、また、凹む」

と、言った言葉に、思わず

「おっしゃる通り!」と画面に向かって、ツッコむ私。

私の現在地は、まだまだこの程度です。

『シンプル』なのに、奥行きのあるモノ。

何も凝ったことをしているわけではないのに、人を感動させることができるモノ。

そういうモノを、創り出す。創り出し続けること。

私も、同じ様なモノを、目指したい。

良いことも、悪いことも、

いつも、結果は目の前のお客様であり、

今の自分の持っている、実力のモノしか作れない。

目の前の結果から目を背けて、脱走して気分を変えたところで

何も生み出せない。

また、忘れてた。

大切な気持ち。

「もう一度、ちゃんと、美容師をする」

そう、思って独立した。

ブルーナさんは、ミッフィーの目と口の、

たった2つの点とバッテンだけで、喜びや悲しみの表情を表現するのに、

多大な時間を費やしたと知りました。

カットも、

点と点を、結ぶ線が、カットラインです。

そこに懸ける自分の情熱を、消えそうになっては、また奮い立たせて

このフロアに立ちたい。

もう一度、ちゃんと、美容師をしよう。