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学び直しのゆくえ

毎年、参加しているカットの講習会。

今年もこの2月からスタート。

年々、日帰りの東京が、身体的にも、精神的にも、経済的にも

苦しいものがありますが、

いつだったか、ここに書いたことがあると思いますが、

昔、あるお客様に

「いつ、(講習会に)行くのを辞めようか?と考える時があります」

と言ったことがありました。

その時に、このお客様が

「じゃあ、その講習会に費やすお金や労力を、他に使うとしたら何?」

と聞かれて、消えてなくなるものしか思いつかなかった所以。

そのまま、現在に至ります。

最近、よく耳にする「リスキリング」

”新しい職業に就くために、あるいは今の職業で必要とされるスキルの

大幅な変化に適応するために、

必要なスキルを獲得する/させること”

という経済産業省の定義。

企業が今後必要となる仕事上のスキルや技術を、再教育で身につけさせること。

などなど、リスキリングを調べていて、

「学び直し」と言う言葉が必ず出てきます。

技術の大幅な変化は無いけど、常に自分のカットの現在地に於ける

「学び直し」のカット講習会は、私にとって、この先の何に繋がるのか?

 

先日、新聞で読んだ記事。

「大江千里さんの47歳からのリスキリング 捨てた甘えと成功体験」

47歳で単身でニューヨークに渡り、大学でジャズを学び直した時のお話。

日本での27年間の音楽のキャリアも、人間関係も断ち切って

ニューヨークに渡り、ジャズを学び直した時の事が書かれてある記事でした。

その記事の中で、大江千里さんが

「人生はごっそり捨てないと、

1個のキラキラしたものが、手に入らないですから」

今までのキャリアや常識を捨て、

いろんなものを手放し、そこから這い上がってきたことが書かれてありました。

 

この大江千里さんのリスキリング(学び直し)の記事に対して

別の新聞記者が書いたコラムでの中で、

私は「アンラーン」という言葉に出会います。

大江さんの様に、

これまで学んできたこと、知識や常識を手放す事を、

英語で「アンラーン」と言う。

 

私は知らなかったけど、

最近リスキリングとセットで語られることが多い言葉。

このコラムの中で、

哲学者の鶴見俊輔さんと言う方はアンラーンを「学びほぐす」と訳した。

その背景には、この鶴見さんと言う方が米ハーバード大学への留学時代に、

ヘレン・ケラーにばったり出くわしたときのお話が書かれてありました。

「私はたくさんの事を大学で学んだけど、その後、たくさんの事を

アンラーンしなければならなかった」と

ヘレン・ケラーに言われたそうです。

この時、鶴見さんの頭の中には、

”型通りにセーターを編んだあと、ほどいて毛糸に戻し、

自分の身体に合わせて編み直す”

そんな情景が思い浮かんだ。と。

 

 

そうか。。。

私にとって、このカット講習こそ「アンラーン」

時に、今自分の持っている知識や、思いこみが

ここでカットを学ぶときに妨げになり、新しい知識をインプットしにくくなる。

先生も、私達の頭の中や、動かす手にしみついている

”クセ”を指摘する。

今まで手に入れた数々のヘアスタイルを、自分で毛糸をほどいていくように、

頭の中をニュートラルな状態にして、

同じようで同じじゃないヘアスタイルを作る発想力を、つける。

 

今年の目標、見つけた。この壁を、ぶち破りたい。