香りを運ぶ
5月の季語 「薫風」
初夏に新緑のあいだを吹き抜けてくる風は、若葉や花の香りをまとうと言われています。
五感をフルに活用したくなるこの季節。
朝の通勤道。なにわ筋のイチョウの葉の新芽が、
日に日に重なりを増していきます。
少し前の事ですが、SNSについて盟友・甲斐ちゃんと話していた時
「香りだけが、サブスクが無いんですよね」
と彼女が言いました。
音楽配信サービス(Spotifyなど)、動画配信サービス(Netflixなどなど)といった、
確かに、”見る””聞く”はパソコン、スマホから受け取れる。
”触れる””食べる”も、形があるので、自宅に届けられる。
今、この瞬間の”香り”は。。。どうやったら、届く?
この時の会話が、なぜか忘れられなくて、ずっと頭の片隅にありました。
もう一つ。香りのこと。
人間の五感の中でも、香りを感じる嗅覚だけが、記憶をつかさどる
”海馬”という脳の部位にほぼ直接的に信号を送ることができます。
厳密的には、嗅覚からインプットされた情報は、
喜怒哀楽をつかさどる大脳辺縁系という脳の部位へ信号を送り、
そこにある海馬や扁桃核が反応を起こします。
海馬は記憶の保管庫のような役割を持っています。
なので、私達は香りを嗅いだ瞬間に、
「記憶」と「好き嫌いや喜怒哀楽の感情」がよみがえります。
何の香りかを判断する前に、感情が動くのです。
そして、今年の初めでした。
ご縁があって、知る機会を得た”お香”
自宅やお店で、あさの準備の時間や、読書の時間、ストレッチの時間、
生活の中でお香を焚く習慣をつけていくうちに、
改めて、”香り”のある生活は、とても豊かだと思うようになりました。
感情をリセットさせたり、その場所の空気感を澄んだものにしたり。
“正す”力を持っているような気がします。
ご縁があったお香が、
創業が大正元年という、とても歴史のあるお香の会社
“上信堂”さんのお香だったというのも大きかったのかも知れません。
「香りを運ぶ 記憶を結ぶ」
そんなテーマを掲げて、上信堂さんが作る天然香料を調合した名刺香を
(この調合も、とても経験とセンスがいる、奥が深いものだという事です)
今年のGWはご来店のお客様にプレゼントしています。
お客様自身が”薫風”の様な役割で、
訪れるところに香りを運び、できることなら、その香りを誰かに届け共感し、
そこでその時見た風景や感じた記憶は、
時を経てその香りを嗅いだ時に、よみがえる。
そんな風に、巡り巡っていく豊かさを感じて頂けるアイテムに、
この名刺香がなればいいなと、思っています。
素敵なGWを!