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ものがわかるということ

今、読んでいる本の開いてすぐの“まえがき”は

以下の文章から始まる。

(原文そのままです)

 

“若い頃は、勉強すれば、何でも「わかる」と思っていた。

たとえそのときにわからなくても、

時間さえかければ、わかるようになるはずだ。

そう考えたのではなくて、

ただ素直にそう思っていたのである。”

 

 

 

養老孟司さんの『ものがわかるということ』

先月から読みだして、ただ今、わたくし3回目の再読中。

 

面白い本を読んだとか、素敵なコラムを見つけたとか、

そういった類のものを、人に内容を聞かれたり、自ら「聞いて!聞いて!」と言っといて、

いざ、説明し始めると、私は自分で、何が言いたいのか?わけがわからなくなる。

要は、その本やコラムの内容を ”わかっていない”

このブログでも、そう。

お勧めしたい本や言葉を載せるけど、

それに対する自分の思いとか考えが、あんまり無い。

後から読んで、どうしてもっと自分自身の思った事を書けなかったのかと

奥行きの無い自分の文章が、恥ずかしくなる。

だから、この本のタイトルを見て、

そして”まえがき”を読んだら、もう本屋さんのレジに向かっていた。

 

「ものがわかる」という感覚を理解したくて、この本を手に入れた。

もう少しわかってから、ブログに書きたかったけど、

ただいまこの本の3周目の途中の私は、また違う考え方、捉え方も出て来て、

そんな簡単に”わかった風”に書けなくなってしまった。

もう一回言うけど、要は、まだ”わかっていない”んだ。

 

でも、養老孟司さんは言う。

「意味なんてわからなくて、良い」と。

なぜ、わからなくていいか?

「情報は動かないが、人間は変化する」から。

この本の中で、養老さんは

情報化社会というと、絶えず情報が新しくなっていく、

変化の激しい社会をイメージする人が多いかもしれないが、

自分の捉え方は、全く逆だと。

テレビだろうが、動画だろうが、映された時点で変わらないものになる。

それを見ている人間は、本当に変わり続けている。

現に、同じ本を3回読んでいる私は、同じ本なのに違う考え方になってきている。

まず、「知るとは自分が変わること」

ヒトは脳が大きくなって、動物とは違う能力を持つようになりました。

”意識”というはたらきです。

ヒトの意識は「同じ」と「違う」を理解でき、

「同じ」という能力は人の意識の特徴と言ってもいいようです。

人間の脳は、個人間の差異を無視して、

同じようにしよう、同じようにしようとする性質を持っています。

この「同じ、同じ」を繰り返す世界こそ、

情報化社会、”意識”の社会だと養老さんは言います。

生まれた時から言葉が周りにあって、言葉に埋め尽くされた、

全てが意味に直結する情報化社会にいると

「理解する」とか「わかる」と言うと、

「意味」と結びつけて考えがちになっているというのも、

この本を読んでいて納得します。

意識は意味を求めたがる。

それを、わかるとかわからないとか言って、悩んでいるのは、

何かがずれている様に思えてきた、再読3周目の私。

養老さんは、この本の中で”自然”と”人間”の共鳴の大切さにも触れています。

人間は自然の中に身を置くと、

その自然のルールに、私達の身体の中にもある自然のルールが共鳴する。

すると、いくら頭で考えてもわからないことが、わかってくる。

その「わかる」の根本は”共鳴”だと。

 

物に対して、人に対して、社会に対して、

そこに意味や答えを求めず、意識を外して「わかろうとする」

そんな感覚を持っていたい。