春の訪れの前に
3月20日春分の日
窓に”バチバチバチっ”ってひょうが当たった音がしたかと思えば
太陽が顔を出して、その明るい窓に目がいくと
ひょうの降った後に、電線や窓に残したしずくが
キラキラ光って
その太陽の光に反射したしずくの、何とも言えない綺麗さ。
「あー、もうそこまで、春がきてる」
3月って、ちょっと複雑な月です。
この春分の日の様に
毎年、陰と陽が交互にくる感じの一か月。
お客様やお客様のお子様の受験の結果で
思い通りの結果の人がいれば
もちろん、そうでは無かった人もいるし、
思いもよらぬ、職場の移動があった人。
3月で大阪を去る人。
軽やかな春の前に、ちょっと重い一か月なのです。
この時期は、新聞にも受験生に向けたメッセージ的な記事も多くなり、
読んだ記事が、頭のどこかに残りながら、
忙しいシーズンが過ぎていきました。
少し前の朝日新聞の天声人語
「のび太の長所」
と題したその日の投稿に
ドラえもんの作者、藤子・F・不二雄さんが
くるくる回る床屋さんの看板を人に例えてました。
『上へ上へと夢を追いながら、じつは同じ場所にいる』
え、私の事ですか?(笑)ドキッとする。
『しまいには、その”上昇の夢”さえ忘れてしまう。
そうじゃなくて、挫折しても明るく夢を見続ける
”自分を見捨てない人”に共感してほしい』
少し前になりますが、
Mueのお店の内装をデザインして工事までお願いした
サカグチワークスの岩田さんがカットに来てくださり、
「先輩のお店が立ち退きになるので、移転するまでに
一緒に行きませんか?Mueさんのすぐ近くなんです」
と言うので、一緒に行ってきました。
そのお店と言うのも
私が、毎日朝と晩、通勤で歩くなにわ筋沿いの
ネオンの看板がオシャレなクラフトビールのお店で
いつもお客様でにぎわっている様子を、私も毎晩見てきたお店が
まさか、岩田さんの先輩のお店だったなんて!
岩田さんが大学を卒業して、直ぐに働いた設計事務所の先輩だった
A氏とB氏
そのA氏が
「おれ、もう設計とかいいわ。飲食やりたいから、飲食やる」
と言って、スタートさせたのが、このクラフトビールのお店です。
このお店の設計を担当したのが、同じ事務所だった、B氏。
ガラス張りのお店で、照明の加減もあるのだと思いますが
夜はお店の中が良く見えます。
分厚い天然の木を使ったカウンター、壁にあるたくさんのビールのサーバー
そこに賑わっているお客様、オシャレな多肉植物などなど
私は、お店の中でいろいろ目移りして忙しかったのですが
岩田さんは一言
「整いすぎてる。。。」
移転先は、直ぐ近くに良いところを見つけて
既に工事が始まっているとのことでした。
「今度の新しいお店の設計もBさん?」
と、岩田さんからの質問に、A氏
「いや、このお店が始まってから
10年間で出会ったお客さんとか
友達とかで、今回は作ってる。
今より、俺のやりやすいように作った」
”ミルコ”という泡のビールを岩田さんが美味しそうに飲んでいたので
私も真似して頼んだミルコを口にしながら聞こえてきた
A氏のこの言葉に、なんだかジーンときた。
「働くことは、自分と対峙する事」
◇対峙
じっとにらみ合って対立すること
いつだったか、これも新聞で読んだ記事からの言葉。
忙しいシーズンは、
仕事を通じて、自分と向き合う機会が増えます。
忙しさと身体の不調は、年々、正比例。
それでも、忘れてはいけない
気遣いや言葉遣い。
自分が大切にしたい、質の良い仕事。
新しいことへのチャレンジ。
その時その時に、自分自身に問いかけながら、
うまく折り合いをつけながら
新鮮な気持ちで、お仕事をしたいと思っています。
「のび太の長所」の天声人語の最後に
のび太が大事に育てたタンポポから、綿毛が最後に一つ
春風に吹かれて飛んでいく記述があります。
どこへ行くの?
という、のび太の問いに綿毛は
「わからないけど。。。
だけどきっと、どこかで綺麗な花を咲かせるよ」
早く、春にならないかな~